K：カイラ：♀
H：ハイリ：♂
ふと思いつき、勢いで書き上げたお話です。
内容がとても薄いので、間や感情の起伏を大きくとって
お話に深さを与えてください。
あとは任せました。
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KN「私には宝物があった。順位はなく、どれも平等に大切なもの。
けれど私はそれを大切にすることができなかった。
すぐに壊してしまう。壊れてしまう。
忌々しい呪いが、私の愛を奪い取ってしまったのだ」
HN「それはとても雨の強い日だった」
H「こんな雨の中じゃ見つかるものもみつからないな…」
HN「その日僕はとある魔物退治のため森に出ていた。
基本魔物退治の依頼は受けていなかったのだが、
お得意さんということもあり、あまり危険な魔物でもないからと
依頼を受けたのだ。」
K「ふふんふふん〜♪」（鼻歌）
H「人の声…？こんな森の中で..しかも女性か…？」
K「ふふんふふん〜」（鼻歌）
H「聞き間違いじゃない。。こっちか？」
K「ふふんふふん〜」
H「白い…人…」
K「っ！だれかいるの…？」
HN「髪や服、何もかもが白で包まれている女性だった。
本当に生きているのか分からないほどに、白い。」
H「あ、怪しいものじゃないよ。ただ、素敵な歌声に惹かれて…」
K「聞いてたの…」
HN「体温を感じられなかった彼女の肌が、恥ずかしそうに赤く染まった。
彼女は生きている。」
H「魔物退治にこの森に来たんだけどこの雨で困っていてね」
K「…あなたここら辺の人じゃないのね。」
H「そうだけど…どうして？」
K「だいたいここら辺に住む人は私を恐れて入ってこないの。
白い魔女ってね」
HN「どうして強くもない魔物の退治依頼が来たかと思ったら
本人がその魔物すら倒せないわけでは無く、彼女を恐れていたのか」
H「こんなに美しい人を怖がるなんて..なんて愚かな人たちなのだろう」
K「ふふ。口が上手ね。私の家すぐそこなの
よかったら雨宿りしていって。」
H「ああ、じゃあお邪魔しようかな」
K「ここよ」
HN「そこは、彼女のように白いものだけでできた、汚れのない屋敷だった」
H「綺麗だ….」
K「綺麗なものだけを集めているの。この雨も、みんなには嫌われているけど、こんなに綺麗なのよ」
HN「それは小瓶に詰められた雨水だった」
H「雨水が綺麗だなんて考えたこともなかった。確かにキラキラしていて綺麗だ」
K「そう思ってもらえて嬉しいわ。この子たちも喜んでる」
H「僕にはいつまでも気づけなかっただろう。君はすごいね。
...あの、あまり言いたくないかもしれないが…どうして君は町のみんなに恐れられているんだ…？」
K「それは私と一緒にいればすぐわかるわ。」
H「….じゃあ、もう家に帰って来たというのにどうして手袋を取らないんだい？」
K「それも、後でわかるわ。」
H「そうか…..。」
K「ごめんなさい。でも私と話してくれる人なんてあまりいないものだから
まだ話していたくて。きっとあなたも私を怖がってしまうから」
H「そんなことは！」
K「ないとは言えないわ。今までもそうだったの。」
H「…ごめん」
K「いいの。あなたは優しいわ。
もし、どうしても私のことを知りたいというなら
そっちの部屋をみて。私の宝物がたくさんある部屋よ。」
H「それが君の恐れられる理由になるのかい？」
K「ええ。」
H「宝物たちが？」
K「ええ。もう、宝物とは言えないかもしれないけど」
H「それは、どういう」
K「…」
H「僕は、君を嫌いにならないよ」
K「だから…」
H「知らなくていい。君が自分で言っていたように
皆から嫌われる雨も実はとても綺麗だった。君と同じように。」
K「…」
H「僕はハイリ。君は？」
K「私は、カイラ」
H「カイラ。いい名前だ。」
K「…ありがとう。あなたも素敵な名前だわ」
HN「それから僕は何度か彼女のいる森に足を運んだ。
彼女とはとても仲良くなった。
…何も知らないまま」
K「ふふんふふん」（鼻歌）
HN「彼女はいつも同じ歌を歌っていた。
そして会うたびに彼女の部屋には物が増え、そして減っていた」
H「カイ…ラ…」
HN「そして僕は見てしまったのだ。彼女の本当の姿を。」
K「ふふん……」（鼻歌を少しずつ小さく。だんだんと集中していく感じ）
H「ぁ……」
HN「あれは確かに彼女の大切にしていた宝物だった。
彼女が決して取ることのなかった、白い、装飾の綺麗な手袋。
するりと手から外すと、その白い手で宝物にそっと触れた。
すると美しかった宝物たちが黒い砂に姿を変え、瞬く間に消えていった」
K「…さよなら私の宝物」
H「宝物...あの部屋にはなにが…？」
K「ふふんふふん」（鼻歌）
HN「彼女はまた手袋をつけると、カバンから次の宝物を取り出した。
今のうちに、あの部屋を…彼女の屋敷に走った。」
H「はぁ、はぁ、、、」
HN「今まで触れることのなかった扉に手をかける。」
H「….これ。。」
HN「中には、白で統一された美しい彼女の館とは思えないほどに
壊れたガラクタの山ができていた。美しさはどこにも無く、彼女とは真逆の存在であった。」
K「触れたくなってしまうの」
H「っ！カイラ…..」
K「どれも綺麗で、美しくて、私とは違う。
触れたら汚れて壊れてしまうと分かっているのに、手袋を外して美しいものに触れたい。
そう思ってしまうの」
H「…….」
K「ここにあるものは全て、触れたけれど形を保ったままでいてくれた
数少ない宝物。触れても消えなかった私の大切な宝物なの。
…もう分かったでしょう。私は本当は綺麗なんかじゃない。
あなたが知りたがっていた、私の恐れられる理由よ。
……さようなら。ハイリ。
私を綺麗といってくれた唯一の人。忘れないわ」
HN「彼女は別れようとしている。今までの思い出を捨て、
また魔女と恐れられる日々に戻ろうとしている。
そんなことになってしまうなら、彼女がまたただ苦しむだけの日々に戻ってしまうなら
それならいっそ。」
H「カイリ」
KN「彼が私の手を取る。汚れた手を。」
K「ダメよ。」
H「君は綺麗だ。」
K「やめて」
H「きみがすきなんだ。」
KN「手袋がするりと手から抜ける。彼に触れる前に手を引いた。
けれど彼は私の手を掴んだのだ。
今まで何度触れたいと思ったか。
何度彼の体温を感じたいと思ったことか。
けれど私は知っていた。それを知ってしまった時こそが彼との別れだと」
H「伝えたかった。君が、好きだ」
K「….私もよ。ハイリ」
KN「彼の指先から徐々に黒く染まっていく。
彼は私の手を離さなかった。暖かかった。」
K「私も、好きよハイリ」
KN「届いたかわからない。
彼が黒く染まり切るのが先か、私の言葉が先かわからなかった。
彼はもう動かないがその顔は優しく微笑んでいた。」
K「ただいまハイリ。今日も素敵な物を見つけたの。
光る石よ。綺麗でしょう？」
KN「大事な大事な宝物に囲まれた彼はもう動かない。
けれど私の命が尽きるまで彼はその優しい微笑みとともにずっとそばにいてくれる。」
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